マンガ家とは
マンガ家とは、いったいどのような職業なのでしょうか。
“マンガのストーリーを考えたり、絵を描いたりする職業”
現代では、マンガは日本文化の代表とも言われており、個性あふれるマンガ家が数多く活躍しています。
マンガには様々なジャンルが存在し、子供から大人まであらゆる志向をもつ読者を楽しませています。
近年インターネットの発展に伴い、作品を発表する場は広がりをみせ、パソコンやスマホで読めるデジタルマンガ(Webマンガ)など、マンガ家の活躍・表現の幅も広がっています。
マンガや雑誌だけでなく、参考書の解説マンガを描く人など、活躍している多くのマンガ家の中には、デビューするまではアシスタントとして働く人もいます。
マンガ家の仕事内容とは
マンガ家の仕事内容とは、いったいどのようなものでしょうか。
マンガ家のタイプはさまざまなため、描く内容によって仕事内容も異なりますが、
基本的には出版社からの依頼を受けて、締め切りまでに作品を仕上げます。
定期的に編集者と打ち合わせを重ね、進捗をチェックし、変更点を指摘されたら、その都度加筆修正していきます。
まずは、話のテーマを決めて、大まかなストーリーやキャラクターの案を出します。
アイデア出しから原稿まで、漫画家は編集者と二人三脚で行います。
インスピレーションとクリエイティビティを駆使して、ストーリーや世界観、キャラクター設定をプロットにまとめます。
しかし、インスピレーションが湧いた瞬間にアイデアをそのまま書き始めるのではなく、まずはそのアイデアを大筋にまとめることが重要です。
アイデアを整理し物語の核となるテーマを明確にします。そのようなメッセージや感情を伝えたいのかを考えることで、ストーリー全体の方向性が定まります。
そのテーマに基づいて主要なキャラクターや物語の大まかな流れを設計します。クリエイティビティを駆使しながら、独自のキャラクター設定や意外性のある展開を考えます。
③“セリフや絵、ストーリーの流れを下書き(ネーム)に描き起こす”
マンガの設計図とも言えるネームを描き起こし、大まかなコマ割りやセリフを形にしていきます。
マンガ家としての作品作りでは、インスピレーションを得て練り上げたアイデアやストーリーを、実際のページに落とし込む作業が重要です。その過程で、セリフやキャラクターの流れをネームに書き起こしていきます。このステップでクリエイティビティを発揮し、物語を視覚的に表現するための基盤が築かれます。
インスピレーションに基づいて描いたキャラクターや物語のシーンを、ネームに具現化していきます。ネームは、マンガのキャラクターの配置を決定するための設計図のようなものです。この段階では、セリフや絵やストーリーの動きが、物語の流れに沿って自然に展開するかを確認します。
また、セリフはキャラクターの性格や状況に応じて慎重に考える必要があります。インスピレーションによって生まれた言葉が、キャラクターの内面を表現し、物語に深みを与えます。加えて、セリフの長さやリズムを考慮して、読者にとって読みやすいかどうかを確認します。
④“下書き・ペン入れ・ベタ塗り・トーン貼りなどの処理をする”
ここから実際の作画に進みます。下書き・ペン入れ・ベタ塗り・トーン貼りなどの各工程を通して、作品を完成形へ仕上げていきます。
下書きは、ネームをもとにキャラクターのポーズや表情、背景などを細かく描き込む作業です。この段階では、インスピレーションを活かし、キャラクターの魅力やシーンの雰囲気を丁寧に表現します。クリエイティビティを発揮して、画面構成や視覚的なリズムを整えていき、読者の没入感を高めます。
次にペン入れと呼ばれる工程では、鉛筆で描いた線をペンやデジタルツールで仕上げます。これにより、キャラクターや背景の輪郭が明確になり、作品全体の印象が決まります。ペン入れの際には、インスピレーションによって生まれた細かいニュアンスを失わないように気を付けながら、線の強弱や質感を調整します。
そしてベタ塗りと呼ばれる工程で、黒い部分を塗りつぶします。キャラクターの髪の毛や影など、画面にコントラストを与え、立体感を強調します。この作業によって、作品に力強さと深みが加わり、視覚的なインパクトが増します。ここでも、クリエイティビティを活かして光と影のバランスを考え、シーンの雰囲気を引き立たせます。
最後のトーン貼りの作業では、キャラクターや背景に陰影や質感を与えるため、スクリーントーン(模様のついたシート)を貼ります。
トーンを使用することで、キャラクターの肌や衣服の質感、背景の奥行き感を表現することが出来ます。
マンガ家になる方法とは
マンガ家になるには、いったいどのような方法があるのでしょうか。
マンガ家になるための一般的な方法の一つは、新人賞を目指してデビューすることです。
多くのマンガ家がこの道を通じてプロの世界に足を踏み入れています。新人賞は、未経験者や新人作家が自分の才能を発揮し、出版社に認めてもらうための重要なステップです。短編や連載形式でオリジナルの作品を制作して、独自の世界観やキャラクターを生み出します。
その作品を多くの出版社や漫画雑誌が主催する新人賞に応募し、自分の作品を審査員に評価してもらいます。新人賞で上位に入賞すれば、編集者との打ち合わせや契約の機会が得られる可能性があります。編集者とのコミュニケーションを通じて、さらに作品を磨いていくことが重要です。
最終的に、出版契約を獲得してプロのマンガ家としてデビューします。出版社との協力のもと、読者に向けて自分の作品を発表し、マンガ家としてのキャリアを築いていきます。
この道のりには多くの時間と努力と忍耐が必要ですが、自分の才能と情熱を信じて進み続ければ、夢が叶う可能性があります。
また、自身のブログやSNS、ウェブマンガサイトなどで発表し、読者の反応を見ることもできます。そこで編集者の目に留まり、その後デビューする作家もいます。
マンガ家になるために、持ち込みでのデビューを目指す方法があります。この道では、自分の才能と作品を出版社に直接アピールし、編集者の目に留まることが重要です。
オリジナルのストーリーを構築し、キャラクターを魅力的に描写することで、読者の心を捉える力を持った作品を作ります。完成した作品は、プロフェッショナルなレベルで仕上げ、出版社に持ち込む準備を整えます。
そして、出版社に持ち込みます。出版社の編集部に自分の作品を直接持参し、編集者に対面でプレゼンテーションします。この際、自分の作品に自信を持ち、熱意を伝えることが重要です。編集者は作品の内容や魅力を評価し、必要に応じてフィードバックや改善点を指摘してくれることがあります。
編集者との交渉を経て、出版契約を獲得しデビューします。この契約には著作権や出版の条件が含まれるため、注意深く取り組む必要があります。デビュー後は、出版社との協力のもと、読者に向けて作品を発表し、プロのマンガ家としてのキャリアを積んでいきます。
持ち込みでのデビューは、個人の努力と作品のクオリティが直接反映される方法です。自分のアイデアと情熱を信じて、コツコツと努力を重ねていくことで、夢を実現させる道が開けるかもしれません。
マンガ家を目指す場合、専門学校で学んでからデビューする道があります。専門学校では漫画制作に必要な基本的な技術や知識を体系的に学び、プロの漫画家としてのキャリアを築く準備ができます。
まず、専門学校での学びが始まりです。ここでは、デッサンやアナトミー、構図、パースペクティブなど、漫画制作に必要な技術を徹底的に習得します。また、プロットの作成やキャラクターデザイン、デジタルツールの使用方法など、実践的なスキルも身につけます。
次に、実習や課題を通じて自分の作品を制作します。専門学校では、教員やクラスメートからフィードバックを受けながら、自分の漫画スタイルを確立していきます。また、作品発表の機会やイベントに参加することで、他の学生や業界関係者との交流を深めます。
専門学校を卒業した後、漫画家としてのキャリアをスタートさせる準備が整います。出版社や漫画雑誌に自分のポートフォリオを提出し、デビューのチャンスを掴みます。専門学校での学びと実績は、編集者にとっても信頼できる資産となり、デビューに大きなプラスになります。
専門学校で学ぶことは、理論と実践を組み合わせた漫画制作の基礎を確実に身につけることができる絶好の機会です。自分の才能を最大限に発揮し、プロの漫画家としてのキャリアを目指すなら、専門学校での学びがきっかけとなるかもしれません。
マンガ家に必要な知識や技術とは
マンガ家になるために必要な資格は特にないですが、求められる知識や技術は、いったいどのようなものがあるのでしょうか。
キャラクターやシーンをリアルかつ自然に描くためには、デッサンやアナトミー(人体デッサン)の理解が欠かせません。
人体の構造や動きに関する知識は、キャラクターが多様なポーズをや表情を取る際に説得力を持たせます。
正確なデッサン力があれば、キャラクターがどの角度から見ても一貫性を保ち、読者が違和感なく物語に没入できます。
また、アナトミーの理解は動きや感情の表現にも直結します。
例えば、筋肉の動きや関節の位置を知ることで、アクションシーンにダイナミズムを与えたり、微妙な表情変化を描き出したりすることができます。これにより、キャラクターがまるで生きているかのようなリアリティと深みを持ち、読者に強い感情的な共鳴を生み出します。
このように、デッサンやアナトミーの知識は、マンガ家がその作品に命を吹き込み、読者を魅了するための基盤となるのです。
物語を視覚的に効果的に伝え、読者を物語の世界に引き込むためには、構図とパースペクティブ(遠近法)の理解が欠かせません。
構図の理解は、各シーンをどのように配置し、どの要素を強調するかを決定します。良い構図は視線を自然に誘導し、重要な要素に注目を集めます。これにより、読者は物語の流れをスムーズに追うことができ、感情の起伏やドラマチックな瞬間がより強く伝わります。例えば、キャラクターの配置や背景の使い方、前景と後景のバランスなどが適切に計算されていると、シーンに深みと動きが生まれます。
また、パースペクティブの理解は、シーンにリアリティと奥行きを与えます。パースペクティブを正確に描くことで、キャラクターやオブジェクトが三次元空間に存在しているかのような錯覚を作り出します。これにより、読者は物語の世界により没入しやすくなります。例えば、建物や風景、室内のシーンを描く際には、パースペクティブの技術が不可欠です。遠近感が正しく表現されていれば、読者はその場にいるかのような臨場感を味わえます。
構図とパースペクティブの両方を巧みに利用することで、マンガ家は視覚的に魅力的なシーンを作り上げ、読者に強い印象を与えることができるのです。これらの技術は、物語の説得力を高め、読者をその世界に引き込むための重要な要素となります。
キャラクターやシーンを描く画力だけでなく、読者を感情的に引き込むために、ストーリーテリングの技術は不可欠です。
魅力的な物語を創り出すためには、キャラクターの成長や葛藤、物語の起承転結を効果的に組み立てる力が求められます。
良いストーリーテリングとは、次のようなものが挙げられます。
①キャラクターの深み:読者が共感しやすい、魅力的で複雑なキャラクターを創り出すこと。
②プロットの構成:物語の展開を緻密に計画し、適切なタイミングでクライマックスやサスペンスを導入すること。
③感情の伝達:キャラクターのセリフや行動を通じて、読者に強い感情的な反応を引き起こすこと。
④テーマの明確化:物語を通じて伝えたいメッセージやテーマを明確にし、読者に深い印象を与えること。
これらのストーリーテリングの技術を駆使することで、マンガ家は単なる視覚的な美しさだけでなく、心に残る物語を創り上げることができ、読者を物語の世界に引き込み続けることができるのです。
マンガ家に向いている人とは
マンガ家に向いている人とは、いったいどのような人でしょうか。
常に新しい世界やキャラクターを生み出すことに喜びを感じられる人です。
日常の中からインスピレーションを得て、独創的なアイデアを次々と考え出すことができ、物事の見方や発想が豊富で、それを漫画の中で表現することに情熱を持っている人は、マンガ家に向いているかもしれません。
人々や物事の微細な変化や表情、動きを捉える能力に長けてている人です。
現実世界の細部に対する興味が深く、その観察から得たインスピレーションをキャラクターやストーリーの構築に活かすことができるような洞察力がある人は、マンガ家に向いているかもしれません。
長期的なプロジェクトに取り組むことができる忍耐力を持っている人です。
作品の完成までの長い時間に耐え、途中での挫折や困難にも負けずに進むことができ、自分の作品や技術を向上させるために、講評や意見を受け入れ、常に成長し続ける向上心も持っている人は、マンガ家に向いているかもしれません。
穴吹デザイン専門学校でマンガについて学べる学科とは
穴吹デザイン専門学校でマンガについて学べる学科とは、いったいどのような学科でしょうか。
穴吹デザイン専門学校でマンガ家を目指すなら、マンガ・アニメーション学科がおすすめです。
たくさんの仲間たちと一緒に、切磋琢磨しながら目標に向かって勉強できる環境が用意されています。
穴吹デザイン専門学校で学ぶメリットの1つが、講師の多くが第一線で活躍しているマンガ家やアニメーターであることです。
講師が日々の仕事で実践していることを情報として提示してくれるので、学生にとってはとても学びの多い環境です。
授業では、座学だけでなく、実際に手を動かして作る課題や作品が数多くあります。
講師自身の経験を基に出される課題として作った作品は、『ポートフォリオ』に載せる作品としても使えるものになります。
マンガ家に必要な技術も基礎から学びますが、自分にはどんな作品が生み出せるか、自分のスキルを理解し、
講師のサポートを受けながら、ともに切磋琢磨しあえる仲間とともに、マンガ家としてのセンスを磨いていくことができます。
穴吹デザイン専門学校では、集英社、講談社、小学館など全国の出版社が参加する講評会を積極的に開催しています。
講評会で高く評価された学生は、編集者から名刺をいただくことができます。名刺がいただけるということは、「担当編集者になってもよい」という1つの意思表示です。教員と担当編集者のアドバイスやサポートを受けながら、受賞・雑誌掲載を目指して作業を進めることが出来ます。
穴吹デザイン学校のマンガ・アニメーション学科は、2019年から2024年で、114作品が受賞しています。
最近の受賞結果としては、以下のようなものがあります。
・2023年集英社 グランドジャパン グランドジャンプ漫画賞 2023夏大会 奨励賞
・2024年講談社 第19回月刊少年マガジンコミック大賞 デビュー佳作
・2024年小学館 新世代サンデー賞 2月期奨励賞
学校独自のマンガ、アニメーション業界との深い結びつきがあり、学校と業界が連携したカリキュラムを持つため、多くの受賞作品が生まれています。