建築士は、住宅や商業施設、公共建築などの設計・工事監理を行い、人々の暮らしや街の風景を形づくる仕事です。国家資格が必要な専門職であり、社会的な責任の大きさとやりがいを兼ね備えた職業として、長く安定した活躍が見込めます。
この記事では、建築士の仕事内容・年収・必要なスキル・将来性・進路の選び方まで、これから建築士を目指す人が知っておきたい情報をわかりやすく解説します。
建築士とは?
建築士とは、国家資格を持ち、建物の設計や工事監理を行う専門職です。
建築士の仕事は、単に図面を引くだけではありません。依頼者の要望を聞き取り、安全性・機能性・デザイン性・コストのバランスを考えながら、法律や規制に沿った建物のプランをつくり上げていきます。完成までには多くの専門家や現場の職人と関わるため、総合的な調整力も求められる仕事です。
住宅、商業施設、学校、公共建築、再開発プロジェクトなど、建築士が活躍する場は多岐にわたります。
自分が設計した建物が何十年にもわたって人々に利用され、街の風景として残り続けることは、建築士ならではの大きなやりがいです。形に残る仕事をしたい人、誰かの暮らしを支えるものをつくりたい人にとって、これ以上ない職業と言えるでしょう。
建築士に向いている人とは?
建築士は、デザインや空間に興味がある人はもちろん、「人の役に立つものをつくりたい」「論理的に物事を考えるのが好き」という人にも向いている仕事です。
具体的には、次のような人が建築士に向いていると言われます。
・空間や建物、街並みに興味がある人
・人の話を丁寧に聞き、要望を形にできる人
・論理的に考え、課題を一つひとつ解決していくのが好きな人
・チームで何かをつくり上げるのが好きな人
・細部にこだわり、責任感を持って仕事に取り組める人
一方で、「絵が得意じゃない」「数学に自信がない」と不安に思う人もいるかもしれません。しかし、設計に必要な製図やCAD、構造の基礎知識は、専門学校や大学で段階的に学ぶことができます。入学時点でのスキルよりも、「興味を持ち続け、学び続けられるか」が大切です。
建築士に向いているかどうかは、実際に授業や設計演習を体験してみることで見えてくることもあります。まずはオープンキャンパスや体験授業に参加してみるのがおすすめです。
建築士の仕事内容
建築士の仕事は、大きく「設計」と「工事監理」の2つに分かれます。プロジェクトによっては、企画段階から関わったり、行政への申請業務を担当したりすることもあります。
なお、建築士には設計事務所などで意匠設計を専門に担当する人もいれば、構造設計や設備設計を専門に担当する人もいます。実際の現場では、それぞれの専門家が連携しながら一つの建物をつくり上げていきます。
依頼者の要望や予算、土地の条件、法規制を踏まえながら、建物の間取りや外観、内部空間を設計する仕事です。機能性とデザイン性のバランスを取りながら、暮らしや使い方に合った空間を提案します。建築士の仕事の中で、もっともクリエイティブな部分と言えます。
地震や風など、建物にかかる力に対して安全に耐えられるよう、骨組みや基礎の構造を計算し設計する仕事です。建物の安全性を支える、極めて重要な役割を担います。
電気、給排水、空調などの設備を計画し、快適で効率的な建物にするための設計を行います。近年は省エネや環境配慮の観点からも、設備設計の重要性が高まっています。
設計図通りに工事が進められているかを現場で確認し、品質・工期・安全性を管理する仕事です。現場の職人や施工管理者と連携しながら、設計の意図を正しく形にしていく役割を担います。
建築確認申請や開発許可など、建築基準法をはじめとする関連法令に基づく行政手続きも建築士の重要な業務です。法規に関する正確な知識が求められます。
建築士の3つの資格|一級・二級・木造の違い
建築士の資格は「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」の3種類があり、扱える建物の規模や構造によって役割が分かれています。まずは違いを整理しておきましょう。
一般的には二級建築士を取得し、その後、一級建築士へステップアップする人が多くいます。
建築士になるには?3つのルートを比較
建築士の国家試験を受験するためのルートは、大きく分けて3つあります。それぞれメリット・デメリットがあるので、自分に合った道を選ぶことが大切です。
もっとも一般的で、最短ルートで資格取得を目指せる方法です。指定科目を修めて専門学校(2年制)や大学(4年制)を卒業すれば、実務経験なしで二級・一級建築士の受験資格を得られます。
メリットは、試験に必要な基礎知識から設計演習まで体系的に学べること、独学では習得が難しい設計製図の指導を専門の教員から直接受けられること、そして就職活動で企業とのつながりを活かせることです。
工業高校の建築科を卒業した人や、社会人からキャリアチェンジを目指す人が選ぶルートです。学費がかからず、給与を得ながら現場の「生きた知識」を体得できる点は魅力ですが、受験資格を得るまでに最大7年程度の実務経験が必要で、仕事と学習の両立は体力的・精神的にも負担が大きくなります。
建築士試験は、学歴または実務経験のいずれかが受験資格の前提となるため、完全な独学のみで受験することはできません。このルートは、建築関連の職場で実務経験を積みながら、知識習得は独学で進める方法を指します。
学習コストは抑えられますが、出題範囲が膨大で、特に設計製図試験は第三者の添削や指導なしでは合格がほぼ不可能です。建築関連の工業高校卒業者や、専門の予備校・通信講座を併用できる環境にある人向けの方法と言えます。
※2020年の建築士法改正により、現在は「実務経験は免許登録時の要件」となり、学歴ルートで指定科目を修めた人は、卒業後すぐに受験できるようになっています。受験要件の最新情報は、建築技術教育普及センターの公式サイトで確認してください。
建築士試験の合格率と難易度
建築士試験は、学科試験と設計製図試験の2段階で行われます。合格率の目安を知っておくことで、必要な学習量や対策のイメージがつかみやすくなります。
二級建築士も総合合格率は約20%台で、十分に難易度の高い国家資格です。一級建築士は総合合格率が約10%前後の難関資格となります。だからこそ、専門学校や大学で体系的に学び、専門教員の指導を受けながら対策を進められる環境が大きな強みになります。
※合格率データは、建築技術教育普及センター発表の令和7年(2025年)実施試験結果に基づきます。
建築士に必要なスキルとは?
建築士には、国家資格に加えて、現場で活躍するためのさまざまなスキルが求められます。ここでは、特に重要な4つのスキルを紹介します。
現代の建築設計では、CAD(設計図を作成するソフト)やBIM(建物を立体的なデータで設計・管理する技術)の活用が必須です。AutoCAD・Jw_cad・Revitなどが代表的なツールで、学校では基礎から段階的に学べるため、未経験からでも習得を目指せます。
建築基準法をはじめ、都市計画法、消防法、バリアフリー法など、数多くの法規を理解し、設計に反映させる知識が不可欠です。法律は改正されることも多いため、卒業後も学び続ける姿勢が求められます。
意匠設計(デザイン担当)であっても、構造や設備の基礎知識がなければ、専門技術者との連携がうまくいきません。建物の安全性と機能性を高めるためにも、専門分野を超えた幅広い知識が大切です。
建築士は、施主・現場の職人・行政の担当者など、多くの関係者と協力しながら仕事を進めます。要望を正確に聞き取り、自分の設計意図を分かりやすく伝えるプレゼンテーション能力は、仕事を受注するうえでも欠かせません。
建築士の将来性と年収
建物は定期的な建て替えや改修が必要であり、人々の暮らしが続く限り、建築士の需要は今後も続くと考えられています。新築だけでなく、リフォーム・リノベーション、再開発、耐震化など、活躍領域は多岐にわたります。
さらに建設業界では深刻な人手不足が続いており、設計・監理を担う専門性の高い建築士は、社会的に強く求められる存在となっています。
近年は、省エネ住宅、サステナブル建築、まちづくり、空き家活用など、社会の変化に対応できる新しい視点を持つ建築士が求められています。資格と実務経験を積み重ねれば、生涯にわたって長く活躍できる職業です。
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、建築士を含む建築技術者の平均年収は約640万円とされており、日本の平均年収と比較しても高い水準にあります。
一級建築士になると、企業規模や担当プロジェクトによっては年収700万円〜1,000万円以上を目指すことも可能です。独立して設計事務所を経営する道や、ゼネコン・ハウスメーカー・公務員など、キャリアの選択肢も豊富です。
※年収データは厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の建築技術者統計を参考にしています。勤務先・経験年数・担当業務によって幅があります。
建築士を目指すには?進路の選び方
建築士を目指す方法は一つではありません。自分の学び方や将来の目標に合わせて進路を選ぶことが大切です。
実務経験を積みながら独学で学ぶ方法もありますが、受験資格を得るまでに長期間を要し、製図試験の対策は予備校や通信講座の併用がほぼ必須です。時間とコストのバランスを冷静に考える必要があります。
大学では建築学を理論面から幅広く学べるため、研究や学術的な深い学びを志向する人に適しています。修業年限は4年と長く、学費もかかりますが、一級建築士の受験資格を直接得られる点が大きな魅力です。
専門学校は、建築士の資格取得と実践的な設計力の習得に特化したカリキュラムが組まれています。2年間で集中的に学び、卒業と同時に二級・一級建築士の受験資格を得られる学校も多いため、「早く現場に出たい」「短期間で資格を目指したい」という人に最適な進路です
穴吹デザイン専門学校で建築士を目指す理由
広島にある穴吹デザイン専門学校では、建築士を目指す人のために、資格取得とデザイン力の両方をバランスよく伸ばせるカリキュラムを用意しています。ここでは、穴吹デザイン専門学校ならではの魅力を紹介します。
建築学科では、所定の科目を修めて卒業することで、卒業と同時に一級建築士の受験資格を取得できます。また、インテリアデザイン学科では二級建築士の受験資格が得られるため、住宅やインテリアを中心に学びたい人にもおすすめです。
2023年度より、建築士の合格に向けた「建築士合格特別プログラム」がスタートしています。希望者は、2年間で「設計(デザイン)力」と「資格力」の両方を高めることが可能です。デザイン力を伸ばしながら、卒業後すぐの資格挑戦に備えられる学習環境が整っています。
住宅設計だけでなく、都市計画やまちづくりといった幅広い視点を養うカリキュラムが特徴です。建物単体ではなく、街や暮らし全体をデザインする力を身につけることができます。
建築家・起業家として活躍する谷尻誠氏をはじめ、現役で活躍する建築家から直接指導を受けられる環境が整っています。学生のうちから現場のリアリティや最先端の考え方に触れられることは、将来のキャリアを考えるうえで大きな財産になります。
さらに、就職活動に向けたポートフォリオ制作や企業研究、面接対策などのサポートも充実しています。専任スタッフによる個別面談で、一人ひとりに合わせた進路サポートを行っているのも穴吹デザイン専門学校の特長です。
卒業生は設計事務所・ハウスメーカー・ゼネコン・工務店・インテリアデザイン会社など、幅広い業界で活躍しています。
建築士を目指せる学科
一級建築士を目指すなら、建築学科がおすすめです。
この学科では、住宅から大規模建築、まちづくりまで幅広いスケールの設計に取り組みます。CADやBIMによる設計演習、模型制作、プレゼンテーションなどを通して、「街や社会に残る建物をデザインできる力」を体系的に身につけられることが特長です。卒業と同時に一級建築士の受験資格を得られることも、大きな魅力です。
住宅やインテリアを中心に学びたい人には、インテリアデザイン学科がおすすめです。
この学科では、二級建築士の受験資格取得を目指しながら、住空間の設計やインテリア、家具・雑貨まで、暮らしに密着したデザインを幅広く学びます。CADや模型制作、プレゼンテーションなどを通して、「住む人の心に響く空間をデザインできる力」を身につけられることが特長です。
学んだ先にある将来のイメージ
建築士として働く魅力は、自分が手がけた建物が街に残り、多くの人の暮らしを支え続けることです。
卒業後は、設計事務所、ハウスメーカー、ゼネコン、工務店、インテリアデザイン会社など、幅広い業界で経験を積みながら、専門性を高めていきます。将来的には、一級建築士へのステップアップ、独立開業、構造・環境・福祉などの専門分野に特化する道など、キャリアの広がりは無限大です。
在学中には、住宅設計、商業空間、街区計画など、さまざまなテーマで設計課題に取り組み、自分だけのポートフォリオを完成させていきます。完成した作品は、就職活動でのアピール材料としてはもちろん、自分の成長を実感できる大切な記録にもなります。
在校生・卒業生が実際にどんな作品を生み出しているかは、学生作品ページからご覧いただけます。「自分もこんな建物を設計してみたい」と、将来のイメージを具体化するヒントにしてみてください。
まずはオープンキャンパスで、自分に合うか確かめよう
「建築士に興味はあるけれど、自分に向いているか分からない」そんな人こそ、実際に見て、聞いて、体験してみることが大切です。
オープンキャンパスでは、授業内容や作品展示の見学だけでなく、先生や在校生に進路の相談もできます。体験授業を通して、設計やものづくりの楽しさに直接触れることもできます。
パンフレットだけでは分からないリアルな雰囲気を感じられるので、建築を学んだ経験がない人でも安心して参加できます。まずは一度参加して、自分の未来を具体的にイメージしてみませんか。
建築士に関するよくある質問
A. はい、目指せます。専門学校や大学で基礎から学ぶことで、未経験から建築士になる人は数多くいます。入学時点でのスキルよりも、興味を持って学び続ける姿勢が大切です。
A. はい、必要です。建築士は国家資格が必須の専門職で、設計や工事監理の業務を行うためには、一級建築士・二級建築士・木造建築士のいずれかの資格を取得する必要があります。専門学校や大学で指定科目を修めて卒業すれば、卒業と同時に受験資格を得ることもできます。
A. 問題ありません。設計や構造の知識は入学後に学べます。実際に文系出身で建築士として活躍している人も多くいます。
A. 大丈夫です。最初から上手に描ける必要はありません。製図やスケッチ、CAD操作は学校で基礎から段階的に学ぶことができます。
A. 厚生労働省の統計によると、建築士を含む建築技術者の平均年収は約640万円です。一級建築士になると、企業規模や担当プロジェクトによっては年収700万円〜1,000万円以上を目指すことも可能です。
A. 建物は定期的な建て替えや改修が必要なため、建築士の需要は今後も続くと考えられています。さらに建設業界では人手不足が続いており、設計・監理を担う建築士は社会的に強く求められています。新築だけでなく、リフォーム、耐震化、まちづくりなど活躍領域も広がっており、長く働き続けられる職業です。
A. 扱える建物の規模が異なります。一級建築士はすべての建築物を設計・監理できますが、二級建築士は一般的な住宅や中小規模の建物に限定されます。まずは二級建築士を取得し、実務経験を積んでから一級建築士を目指すのが一般的なキャリアパスです。
A. 令和7年の試験では、一級建築士の総合合格率が約11.4%、二級建築士が約22.6%でした。難易度は高い試験ですが、専門学校や大学で体系的に学び、対策プログラムを活用することで合格を目指せます。
A. 建築士は設計・工事監理を担当し、施工管理は工事を安全・計画通りに進める管理を担当します。建築士は「どんな建物をつくるか」を設計し、施工管理は「その設計をどう安全・適正に実現するか」を現場で支えるイメージです。
まとめ|建築士という夢への第一歩を踏み出そう
建築士は、建物を設計するだけでなく、人々の暮らしや街の未来をつくる仕事です。
「自分にもできるかな」「建築を学んでみたい」—そう感じた今が、夢への第一歩です。
オープンキャンパスでは、実際の授業や学生作品を見ながら、建築を学ぶ楽しさを体験できます。まずは一度、未来の自分をイメージしに来てみませんか。
この記事の参考データ・出典
・建築技術教育普及センター「一級建築士試験/二級建築士試験 試験結果」https://www.jaeic.or.jp/
・国土交通省「令和7年一級建築士試験『設計製図の試験』の合格者を決定」https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_001108.html
・厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(建築技術者の賃金データ)
・国土交通省「令和2年から建築士試験の受験要件が変わりました」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001314965.pdf
インテリアデザイン学科1年生のインテリアコーディネート授業レポート
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