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入学を心待ちにしていたみなさんへ ~ 入学へのことば

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入学式の中止や新学期の授業開始が延期となったため、学校内も静かな4月の日々を送っています。
新入生にとっては新生活のスタートを自宅で過ごしている方も多いと思います。

本来なら入学式で述べる式辞を、新入生を迎える言葉に代えて、この4月から新任になりました林田正彦校長より、学校近くの京橋川河岸の桜の写真と共にWeb上でお届けします。

 新しい年度が始まり広島市内の桜も満開となり,新入生を迎える頃となりました。新入生の皆さんは,希望を抱き新しい環境での生活に胸を膨らませていることと思います。しかしながら,一方では,新型コロナウイルス感染症の感染拡大が世界中で進行し,我が国においても,その影響が社会の様々な分野に及んでいます。このため,新入生の皆さんも感染拡大への対応に苦慮されるなど不安を抱かれていることと推察いたします。現状では今後の見通しが立ちにくい状況にありますが,世界が協力してこの新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に取り組み,これを収束させてくれるものと信じています。

 さて,新入生の皆さん,入学おめでとうございます。本年度は,先ほど述べた新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため本学園の入学式を中止せざるを得ず,私たち教職員一同は,残念でなりません。しかしながら,教職員及び在校生一同は,新入生の皆さんの入学を心待ちにしていました。改めて,穴吹デザイン専門学校への皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 ご存じのように穴吹学園は,昭和60年に四国情報ビジネス学院として創設されて以来,「地元の学生を地元で育て,高い専門性と豊かな人間性を育み,地域社会から信頼され,貢献できる人材を育成する」ことを建学の精神として,産業界の多様なニーズに応えて参りました。現在は,本部のある高松市,そして広島市・福山市・徳島市に合計18校を有する中四国随一の総合専門学校となっています。建学以来これまでに3万7000名を超える卒業生を輩出し,マンパワーの供給を通じて地域社会の発展に貢献して参りました。

 また,平成26年4月からは専門学校の教育の質を評価・認定し,職業教育の水準の維持・向上を図ることを目的として,文部科学大臣が認定する「職業実践専門課程」が始まりました。本学園は,この制度の開始から18校全てが認定を受けています。このことは,国が本学園の教育の質の高さを評価していることを意味しており,学園はこの認定や関係業界からの肯定的な評価を励みとし,教育内容の充実になお一層,取り組んでいるところです。
 
 その中にあって,穴吹デザイン専門学校は,平成3年に開設され,今年で30年目を迎えました。「職業教育を通して地域社会に貢献する人材を養成する」ことを教育理念として,これまでに,専門的な知識・技能,豊かな感性と柔軟な発想,社会性・責任感・協調性などを身に付けた約4,000名の人材を養成し,業界に送り出しています。卒業生の各分野での活躍や,本校の高い業界就職率などに対して,社会から高い評価と信頼が寄せられています。そしてこれらの実績を生み出しているのが,実践的で即戦力を養成するカリキュラムとデザイン業界各分野の最前線で活躍している講師陣の指導力と充実した施設・設備です。新入生の皆さんには,新しい環境に一日も早く馴染み,専門職として活躍していくための知識・技能と人間力を身に付けるべく,人とのつながりと時間を大切しながら,本校の校訓「日々是前進(ひび これ ぜんしん)」が示しているように,日々研鑽を積み重ね,自己の目標に向かって歩み続けて欲しいと考えます。

 ところで新入生の皆さん,皆さんが生きるこれからの世界は,グローバル化の更なる進展,そして激しい変化や自然現象も含め想定外のことが連続して起こる可能性が高い,先行きの見通しが立ちにくい世の中になることが予想されます。この様な世界では,これまでの様に,事前計画のもと決められた仕事を効率よくこなす人材が求められるのではなく,様々な他者との協働により新たな価値の創造ができ,その都度,状況に応じた最適の解を見つけ行動することができる人材が必要となります。

 そこで新入生の皆さんには,これからの学園生活を送るに当たり次の2つのこと意識して欲しいと考えます。

 1つ目は,遠山の目付(えんざんのめつけ)の見方を意識して考えて欲しいということです。遠山の目付とは,剣道において,相手の顔を中心に据えながら遠くの山を見るように相手の全体をも視野に入れる見方のことです。これからの世の中は,先ほど述べたとおりグローバル化が一層進展する世の中です。この様な世の中では,ローカルだけに目を向けていても,グローバルだけに目を向け過ぎてもいけません。つまり,自国や住む地域,地域や民族が育んできた文化等をグローバル化の中に位置づけて世界に繋げること,すなわち,ヒト・モノ・カネが国境を自由に越えていく世の中において,ローカルの独自性等を魅力あるものとして,どうグローバル化の世の中に位置づけ,新たな価値の創造に繋げることができるかを考えていくことが求められるのです。したがって,新入生の皆さんには,専門性を磨き,自国の伝統文化や地域文化への理解を深めつつ,グローバル化の世界においても広く受け入れられる新たな価値の創造を目指して欲しいのです。
 
 2つ目は,将来の社会人として自らの人間性を高めることにも意識を向けて欲しいということです。そのためには,日々の自分を振り返る習慣づけが大切です。このための方法として,五省(ごせい)を紹介します。五省とは,昭和7年,当時の海軍兵学校の松下元(まつした はじめ)校長が学生の1日の振り返りの視点として考えたものです。その5つの視点と内容は次のとおりです。

  1 至誠に悖(もと)るなかりしか〔 誠実さや真心,人の道にそむくことはなかったか。 〕
  2 言行に恥(は)づるなかりしか〔 発言や行動に,過ちや反省するところはなかったか。〕
  3 気力に缺(か)くるなかりしか〔 物事を成し遂げようとする精神力は十分であったか。〕
  4 努力に憾(うら)みなかりしか〔 目的を達成するために惜しみなく努力をしたか。 〕
  5 不精に亘(わた)るなかりしか〔 怠けたり,面倒くさがったりしたことはなかったか。〕
 
この5つの視点から日々の振り返りを行うことは,自らの人間性を高めることにつながるとともに,他者からの信頼を得ることが可能となり,世界中の人と協働的に創造的な仕事をする際の土台を形成することになります。

 以上,人生の節目になる新たなステージへの入学に当たり,将来の社会人・職業人として意識して欲しいことを述べてみました。新入生の皆さん,今日ここから,新しい環境と新しい出会いの中で社会人になるための準備期間が始まります。入学に当たっての新鮮な緊張感と新たな決意を忘れることなく,多様な人々の中での学びを大切にし,日々精進されることを願っています。そして私たち教職員一同は,新入生の皆さん一人一人の進路実現に向け,総力を挙げて指導に当たって参ります。新入生の皆さんも高い志を持ってこれから頑張ってください。
 
 最後に,新入生のこれからの大いなる成長を期待し,入学式の式辞と致します。

 令和2年4月8日  学校法人穴吹学園 穴吹デザイン専門学校  校 長  林田 正彦

(Web用に一部改編)
一日も早くこの事態が収束して、みなさんと安心して学校生活が送れる日が来ますよう。
みなさんも健康に留意してお過ごしください。

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