2024年12月16日
廿日市の小瀬川の畔に佇む古民家インテリアショップsumu.さま。
ここでは、家具の修繕・北欧ヴィンテージ家具の販売をおこなっており、家と同じ実寸サイズの空間で家具を体感していただきたいという想いから、古民家を改装した店構えとなっています。
今回は、こちらのご店主であり、本校のインテリアデザイン学科の非常勤講師としても授業を教えてくださっている杉原 祥太先生にお話をうかがいました。
古民家を改装した店内は、なんと杉原先生がセルフリノベーションしたそう。建築の知識はもともとなかったという杉原先生ですが、家具をより魅力的に見せる工夫が随所に散りばめられていました。
入口は、古民家らしい重厚感と開放的な印象を与える佇まいになっており、昔ながらの温もりと新しさが融合した空間を演出しています。
扉を開けて奥に進むとコーヒーの香りとともにカウンターが。来店されたお客様が、コーヒーを飲みながらリラックスして、その先の暮らしを想像できるようにと考えられたそうです。
まず、どうしてここでインテリアショップを開こうと思ったんですか?
家と同じ実寸サイズでの空間でインテリアの提供をしたい、古民家という落ち着きある空間でゆっくりと家具に触れ体感していただきたいという想いで、この物件を購入し自らの手ででリノベーションをおこないました。
なるほど。もともと家具やインテリアに関するお仕事をされていたんですか?
以前は介護職に携わっていましたが、怪我をきっかけに転職を決心しました。 祖父が建築士だったのもあって、もともと興味のあった家具の修繕や販売に携わりたいと思い、その後行動に移しました。
行動力がすごいですよね。修理についてはどこかで勉強されたんですか?
そうですね。10代とかとはまた違うのでまずは行動しようと。 色々なところに連絡して、広島には家具の修理を学べるところがなかなかなかったので、高松のCONNECT(コネクト)さんで、修行も兼ねて住み込みで働かせていただきました。そこで学べる限りを学んで、その学びを活かしてこのお店を開きました。
そうだったんですね。ところで、ご自身でリノベーションされたということですが大変ではなかったですか?
そうなんです。ここはもともと大工だった大家さんのひいおじいさんが建てた築50年強の物件なんですが、古民家の雰囲気を残しながらいろいろと壊して作って、を繰り返しました。図面を引けるわけではないので、建物のゆがみに対して自分で基準のラインを決めて直しました。自分が違和感を持たなければ一般の方も感じないだろうと。 壁もすべて自分で漆喰(しっくい)を塗りました。プロがやるのとはまた違うので、二度塗りをしておさまりが良くなるよう工夫しました。 ※漆喰:消石灰(水酸化カルシウム)を主原料とした塗り壁材
それは大変でしたね。だからこそ店内のこだわりポイントもあるのでは?
建具なんかも新しくしました。奥の作業場に続く扉は中が見えるよう雪見障子にしたり。外の景色が見渡せる大きな窓ですが、外側の杉の板と内側の石膏ボードの大きさを合わせるのに苦労しました。 カウンターのある空間のタイルを張るのも大変でした。目地の大きさが合わなくて。でも、それが逆に古民家の雰囲気に合っていて良いと大工さんには言われました。ところどころ知り合いの大工さんにも助けていただきました。 ここまで来るのに、色々な場面で誰かに助けていただいています。 ※目地:タイルや石材、レンガ等を施工する際に部材と部材の隙間の継ぎ目のこと。
人と人とのつながりやタイミングも味方してくれたんですね。杉原先生のお人柄のおかげもあるかもしれません。
人々の暮らしの中にある家具。そして、自然素材を生かしたあたたかみと、シンプルで洗練されたデザインが魅力の北欧家具。
北欧ヴィンテージ家具は、年月が経つにつれて味わい深く変化します。その変化を楽しみながらも使い続けてもらえるよう、そしてお客様に気持ちよく過ごしてもらえるよう、たくさんのこだわりを知ることができました。
家具やインテリアに興味のある方は、ぜひ足を運んでいただきたい場所です。
杉原先生、この度は貴重な機会をいただきまして誠にありがとうございました。
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